今更説明不要なくらいに、世界一有名な映画「スターウォーズ」。本作は、その「スター・ウォーズ:エピソード2 クローンの攻撃」の4ヵ月後という設定で、2005年に公開が予定されている「エピソード3」への橋渡しとなるエピソードである。制作を担当したのは「デクスターズラボ」「サムライジャック」の監督である、ゲンディ・タルタコフスキー。まさに「大抜擢」であると言えよう。
本作最大の魅力は「スターウォーズ エピソード2」までに出てきたキャラクター、それこそほんのチョイ役だったジェダイ騎士達、そして本作オリジナルキャラクターのダージやアサージ、そしてまた「エピソード3」から登場が予定されている、最大の敵「グリーバス将軍」など多くのキャラクターが活躍ところである事は疑いの余地が無い。もちろんメインは、あくまでも主役たるアナキン・スカイウォーカー(後の悪役、ダース・ベイダー)であり、「エピソード2」でも少し触れられた、ダークサイドへの「目覚め」が描かれているのがポイントである。だがしかしその結果、「スターウォーズ」を見た事の無い人にとっては、若干敷居の高い作品となってしまっているのが、残念な所だ。
また最初に放送された当時は、1エピソードがわずか5分足らずと、ものすごく短い構成であった。そのため、最初の数話を見ても、その魅力は伝わりにくくなってしまっており、より敷居を高める結果となってしまったのが、大変残念である。しかしその部分は、後に全エピソードまとめての放送、という形態を取る事で、緩和されたと思う。
実際に見てもらえば解るのだが、ゲンディが「サムライジャック」で培った、お得意の剣術アクション、いわゆる「ゲンディ節」が炸裂。テンポ良く、ケレン味溢れる演出の効果で、単純かつハイクオリティなな娯楽作品となっている。そのため、ストーリーを気にせず、単純にアクションに集中して見る事が出来るため、作品を見ればそれほどの敷居の高さを感じる事は無いのだ。
見所はダージとオビ=ワンとの戦い、またアナキンとアサージの古代遺跡での戦い、メイス・ウィンドウがたった一人で大量のドロイドと戦うシーン(ちなみにゲンディ自身の一番のお気に入りキャラクターは、メイス・ウィンドウとの事である)、そしてCHAPTER20でのグリーバス将軍によるジェダイ騎士狩りなどなど盛り沢山であり、見ていて飽きない。以上のシーンを見るにつけ、本作が「エピソード3までの繋ぎ」などといったレベルの作品では決して無い、という事がうかがえるかと思う。
本作がかなりの好評を博したのであろうか、「クローン大戦 vol.2」と銘打ったシリーズがアメリカにて公開されている。これには映画「スターウォーズ エピソード3」との絡みもあるのだろうが、なんにせよ、続編が作られるというのは非常に嬉しい事である。日本でも2005年5月よりの放送が決定しており、またカートゥーンとしては異例の、日本でのDVD発売も決定している(最もそれは「スターウォーズ」という、ビッグネームだからなのだが…)。
ところでゲンディと言えば「デクスターズラボ」や「パワーパフガールズ」などで、さんざん「スターウォーズ」のパロディをやってきた人物でもある。その彼が実際に「スターウォーズ」という作品に関わるようになった事について(しかも彼の起用はジョージ・ルーカス監督直々のご指名だそうだ)、果たして彼はどのような心境なのであろうか?ちなみにゲンディは「デクスターズラボ」を制作時にとあるインタビューの「何が自分にとって夢のプロジェクトか」という問いに対して「スターウォーズのアニメシリーズがやれたらいい」と答えているそうである。そういった意味では、まさに悲願を達成したという事であろうか。
(本文章は同人誌「TOON GUIDE1」の文章を基にし、大幅に加筆・修正してあります。)