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アトミック・ベティ




●アトミック・ベティとは?

原題「Atomic Betty」。
主人公のベティはごく普通の中学生の女の子。普段はちょっと冴えない彼女だが、一たび指令が下ればアトミック・ベティに変身。宇宙の平和を守る銀河警備隊のキャプテンとして、相棒のスパーキー、ロボットのX-5と一緒に戦うのだ。

本作「アトミック・ベティ」のキーワードは「SF」。それもあえて限定すれば「レトロSF」とでも言える、どこか懐かしいSF的世界観であるといえる。。銀河警備隊の設定や、ベティ達の宇宙服や宇宙船のデザイン、悪役マキシマスの設定などにそれは顕著にうかがえる。

本作の特徴の一つとして、主人公であるベティのキャラクター設定があげられよう。彼女は頭が良く、数学や科学が大好きな理系である。それでいてスポーツも大好き、マンガ集めも大好きなのである。そして部屋にはアイドルやオシャレなポスターなどでは無く、惑星やロケットのポスターが貼られているのだ。またオシャレや恋愛にはとんと無頓着であり、いつも一緒にいる男子のノアは、恋人では無く「大親友」なのだ。誤解を恐れずに言えば、オタク系の性格なのだ。もちろんこうした設定の女性キャラが全くいなかったわけでは無いが、いたとしても脇役だろうし、あるいは主人公チームの一員だったりしており、単独主人公ではこのような性格のキャラクターは今まで無かった、と断言してもいいのでは無いだろうか?
もちろん彼女が宇宙や科学、数学大好きなのは銀河警備隊員としては当然の事だし、恋愛に興味無いという設定も「13歳」という年齢設定を考えると、そんなに無理がある事では無いのかも知れない。

物語は基本的に「日常パート」と「宇宙パート」に分けられる。「日常パート」はベティが暮らしている地球での生活。なにかしら事件やトラブルが発生するのだが、タイミング悪くベティは宇宙へと呼び出される。以後、ベティはアトミック・ベティとして宇宙で活躍するのだが、地球ではベティ不在のまま物語が進行、結局そのまま解決してしまい、ベティは「いつもどこに行ってるの?」と言われるのである。本作の特徴の一つなのだが、この「日常パート」と「宇宙パート」は、基本的にクロスしない。通常こういった子供ヒーローなどの場合、日常世界とヒーローが活躍する世界は地続きのはずである。例えば「パーマン」を思いだしていただければ解ると思うが、ミツ夫もパーマンも同じ世界の住人である。ミツ夫達はパーマンの活躍をニュースで知る事が出来るし、それが原因で(同一人物でありながら)ミツ夫とパーマンは比較され、バカにされてしまうのだ。また直接はヒーローの存在が明らかになっていなくても、悪の脅威自体は伝わってきている、というパターンもあるだろう。だが本作では、日常パートの人間は誰一人として「アトミック・ベティ」というヒーローの存在を知らないし、たとえマキシマスが地球を破壊しようと企んで作戦を実行したとしても、それにすら気付かないのだ。それゆえにベティの友人達は「アトミック・ベティ」のことをベティの「空想」だと思い彼女をからかうし、視聴者ですらベティの「アトミック・ベティ」としての活躍は、彼女の空想なのでは?と思ってしまうのだ。

本作品はカナダ制作である。そのためか他のカートゥーンネットワーク作品のように、ストーリー的な面白さやキャラクター的な面白さはかなり薄くなっている。そういった意味では、ちょっと古めかしい作りの作品と言えるかも知れない。しかしそれが逆に一種独特の雰囲気を醸し出しており、本作品の魅力となっているのだ。そういった意味では純粋に子供向け作品なのであろう。

本作は珍しく、日本語版DVDがワーナーより発売予定となっている。

日本「CARTOON NETWORK」では2006年2月より放送が開始された