トランスフォーマーアニメイテッド エピソードガイド04

#12

「Survival of the Fittest」

Written by : STEVEN GRANAT
Art Direction : DERRICK J.WYATT
Directed by : IRINEO MARAMBA , MAKOTO FUCHIGAMI

あらすじ

オールスパークの鍵が狙われていると知ったオートボット達は、サリに護身術を教えるのだが、なかなか上達しない。そんなある夜、サリの部屋に巨大な黒い影が現れると、サリをいずこかへと連れ去ってしまった。翌朝、警察とオートボットの必死の捜索が始まった。防犯カメラに映っていた映像から、ダイノボット達がが今回の事件に絡んでいると気づいたプロールとバルクヘッドは、ダイノボットがいるエリー湖の島へと向かう。そしてそんな二人の様子から、何かを気づいたファンゾーン警部も、こっそりと後をつけるのであった。

こっそりと後をつけていたファンゾーン警部だったが、早々にプロール達にバレてしまった。更にそこにダイノボットが出現。どういうわけかダイノボット達は、プロール達に襲い掛かってきたのであった。全てはメルトダウンの仕業であった。この島に研究施設を持っているメルトダウンはダイノボット達を酸で痛めつけ服従させ、サリを連れてこさせたのであった。メルトダウンの攻撃にバルクヘッドが傷つき、プロールとファンゾーン警部も地下へ落とされると、メルトダウンの生み出したモンスターと戦う羽目になってしまったのだ。

メルトダウンのモンスターを倒したプロール達は、自力で脱出したサリと合流。傷ついたバルクヘッドを修理する。そこへ再びメルトダウンとダイノボットが現れる。サリの機転とプロールにより、メルトダウンを捕らえる事に成功すると、嫌々メルトダウンに従っていたダイノボットも、メルトダウンに反旗を翻すのであった。

解説

ダイノボットとメルトダウン再登場エピソードです。ダイノボット達は単純にオートボットの一員という位置づけでは無く、誰の味方にもなる文字通りの野生動物のような扱いだ、という事が良く解ります。そのため、しばしばディセプティコンや悪人に利用されてしまうのが、困った所なのですが…。

一方のメルトダウンも人間ヴィランでありながら、今回のように単独での復活が描かれるなど、扱いはかなりいいと言わざるを得ません。特に今回はマッドサイエンティストっぷりをより発揮し、人間を素体としたモンスターまで生み出してしまっています。ちなみにこのモンスターは「超神マスターフォース」に登場した、プリテンダーのブラッドとギルマーが元になっていますよね。

ファンゾーン警部は、機械が大嫌いというちょっと変わったキャラクターですが、しかし決して悪い人では無い、というのが今回のエピソードで語られます。地球でのオートボットの良き理解者の一人でもあります。

#13

「Headmaster」

Written by : MICHAEL RYAN
Art Direction : DERRICK J.WYATT
Directed by : BEN JONES , SHUNJI OGA

あらすじ

科学者、ヘンリー・マスターソンが作り出したヘッドマスターユニットは、相手のロボットの頭と操縦系統を乗っ取ってしまう、恐ろしいロボット兵器であった。しかしロボットの軍事利用を良しとしないサムダックにより、追放されてしまうのであった。

その頃、バルクヘッドは自らの巨体が人々に迷惑をかけている、と思い悩んでいた。サリはそんなバルクヘッドに、何か芸術的な活動をしてみてはどうか、と薦める。その言葉に従い、早速絵を描き始めるバルクヘッド。彼の芸術的才能は見る見る開花していき、とうとう個展を開くまでになった。

しかしサムダックを逆恨みするマスターソンが、ヘッドマスターユニットを使い、バルクヘッドの体を乗っ取ってしまう。必死の捜索にも関わらず、バルクヘッドのボディはなかなか見つからない。そしてとうとうマスターソンは、発電所を襲撃。7000億ドルを要求すると共に、もし要求が拒否されれば太陽融合炉を破壊すると宣言。そんな事になれば、デトロイトは壊滅してしまうだろう。

マスターソンを罠にかけ、発電所へ乗り込むオートボット達。しかしマスターソンは、融合炉の制御棒を外してしまう。このままでは融合炉は暴走を始めてしまう!なんとかバルクヘッドのボディを取り戻すものの、マスターソンは逃亡してしまう。融合炉の爆発まであとわずか。誰かが制御棒を元に戻さないといけないのだが、炉心は超高温を発していて、さすがのオートボット達も溶けてしまうであろう。そこでバルクヘッドの発案で、急いで小型のロボット型オブジェを作成するとサリの鍵の力で動かし、制御棒を元に戻させるのであった。

間一髪、街は救われ、バルクヘッドの個展は無事に開催される。まさに芸術が世界を救ったのであった。

解説

バルクヘッドはメンバー一の力持ちでありながら、実はその巨体に似合わない繊細な神経の持ち主です。そんな彼が芸術の才能に目覚めるというのは、心優しいバルクヘッドならではと言えるでしょう。しかし先の話になりますが、バルクヘッドには他にも秘密の才能が隠されています。知恵と力の両方を兼ね備え、かつ心優しいなんて、実はなかなか優秀なキャラクターなのでは無いのか?と思わされたりします。

ヘッドマスターというのは、元々は小型ロボットが大型ロボットの頭に変形する「ザ・ヘッドマスターズ」というシリーズから来ています。しかし今シリーズでのヘッドマスターは人間、しかも悪役になってしまいます。この辺り、ある意味シリーズの幅の広さを見せてくれます。

ヘッドマスターは残酷にも、ロボットの頭を切り取ってしまいます。しかしバルクヘッドは頭と体が離されても、普通に生きていましたし、メガトロンも頭と体が切り離されたまま、50年を過ごしています。トランスフォーマーは、頭と体が離れてしまっても平気なのでしょうか?それともやはりある程度の時間が経つと、死んでしまうのでしょうか?その辺りは、謎の部分ですね。

#14

「Nature Calls」

Written by : TODD CASEY
Art Direction : DERRICK J.WYATT
Directed by : BEN JONES , BOUAKEO THONGKHAM , SHUNJI OGA

あらすじ

デトロイト郊外の山中から、サイバトロン星由来のエネルギーが感知された。調査のために、プロール、バンブルビー、サリが現地へ向かい、キャンプして調査をする事となった。しかし大自然での生活に慣れているプロールと、すっかり文明生活に毒されてしまったバンブルビーとの間では、どうしてもすれ違いが起きてしまう。

そこへ巨大なモンスターが現れる。三人は辛くもモンスターから逃げ出すのだが、サイバトロン星反応はそのモンスターから出ていた。プロール達はあのモンスターが、サイバトロン星にいる「宇宙フジツボ」なのでは無いか?と気づく。宇宙フジツボとは機械に取り付き、思いのままに操る寄生生物なのだ。

相手の正体が解った三人は、宇宙フジツボの弱点である「熱」を使って、モンスターを攻撃する。なんとかモンスターを撃退したのだが、プロールに宇宙フジツボが寄生してしまった!バンブルビーは基地へ戻ってオプティマス達に救援を求めようと考えるが、そんな事をしている間にも、フジツボはどんどんと他の機械へ寄生していってしまうだろう。なんとかこの場でフジツボを止めるために、サリとバンブルビーはプロールを鉱山へと閉じ込めるのだが、間違えて自分たちも閉じ込められてしまった。

次第に追い詰められていく、サリとバンブルビー。更にあろうことか、バンブルビーまでもがフジツボに寄生されてしまう。サリは咄嗟の機転で、プロールとバンブルビーに熱湯をかける事に成功。二人は、フジツボの支配から逃れる事が出来たのであった。

数日後、最初のモンスターの残骸を発見するサムダック博士。実はそれは、メガトロンのボディだったのだ…。

解説

既にご存知のとおり、プロールはロボットでありながら大自然の素晴らしさを理解し、尊重しています。一方のバンブルビーは、ロボットでありながら、いやロボットだからこそ?すっかり地球の文明に染まってしまい、ゲームやテレビが無ければ、生きていけなくなってしまっています。今回はそんな二人の対比が、面白いエピソードです。しかしプロールは、一体どこで火起こしやテント張りの技術を覚えたのでしょうか?

バンブルビーが劇中で「映画ではキャンプをすると、モンスターに襲われるじゃないか」みたいな事を言っています。確かにあちらでのB級映画では良くあるシチュエーションであると同時に、バンブルビーがすっかりそういう映画のオタクになっている事を表すセリフでもありますし、また今回のエピソード自体が、そういう映画のパロディになっている、という事を忘れてはいけません。

ところで今回登場する鉱山って、もしかしてシーズン2でメガトロンの基地になっていた所なのでしょうか?本編でそのような明言はされていませんが、推理するヒントとして、メガトロンがあの基地を作った際に「周辺にディセプティコン反応を邪魔する物質がある」ような意味合いの発言をしていました。メガトロンのボディですが、今回まで見つからなかったのは、やはり何かに反応を邪魔されていたため、と考える事が出来ます。そしてサムダック博士がボディを発見できたのは、モンスターが鉱山から離れた、川に落ちたため、と考えられます。またメガトロンはサムダック博士からその一連の話を聞いていたため、この鉱山を基地にしたのでは無いか?と考えられますが、いかがでしょうか?

#15 #16

「Megatron Rising」

Written by : #15 MARSHA GRIFFIN , #16 MARTY ISENBERG
Art Direction : DERRICK J.WYATT
Directed by : #15 IRINEO MARAMBA , CIRO NIELI , KENTARO MIZUNO , #16 BEN JONES , CIRO NIELI , SHUNJI OGA

あらすじ

メガトロンのボディが見つかった。サムダック博士は早速修復に励むのだが、メガトロンは自らのボディの修復を、地球人に任せる気は毛頭無かった。なんとかしてサリの持つ鍵を手に入れ、その力で修復をしようと企むメガトロンは、再びラグナッツとの通信を試みる。

その頃、ラグナッツとブリッツウイングはスタースクリームに助けられていた。その事を恩に着せ、自らリーダーを名乗るスタースクリーム。あくまでも反対するラグナッツに対して、メガトロンから秘密通信が入る。それを怪しんだスタースクリームは、ラグナッツ・ブリッツウイングに鍵を探させるよう命じると、電波の発信源を探るべく出発した。

時を同じくして、ディセプティコン反応を発見するオートボット達。ディセプティコンに対する戦力差から、さしものオプティマスも緊張の色を隠せない。更にダイノボットが生きていた事を、プロール達が隠していたと知り、彼は怒ってしまう。また半ば無理矢理鍵を取り上げた事で、サリは飛び出していってしまう。バンブルビーが後から追いかけていったものの、オプティマスはメンバーからの反感を買ってしまう。

スタースクリームは、電波の発信源であるメガトロンを発見。首だけになり身動き取れないメガトロンを前に、スタースクリームは己の勝利を確信する。またサリはブラックアラクニアに捕まり、「オートボットなど信じるな」と吹き込まれる。オプティマス達はダイノボットに、ディセプティコンとの戦いへの協力を求めに行くが、彼らはとてもそんな事が出来るほどの知能を持ち合わせていなかった。更に鍵をスペースシップへ輸送中のラチェットは、ブリッツウイング達に襲われ鍵を奪われてしまった!

バンブルビーはスタースクリームを発見。攻撃を仕掛けるが、返り討ちにあってしまう。その隙を見て、メガトロンはバンブルビーとスタースクリームの両者を、サムダックタワーの外へ追い出す。そこへやって来たブリッツウイングとラグナッツ。鍵の力を得て、メガトロンが復活する!サムダック博士は、自分が騙されていたという事に、ようやく気づかされたのだ。

メガトロンは圧倒的な強さで、オートボットを攻撃する。バルクヘッド、プロールが次々と倒れていき、とうとうオプティマスまでもがやられてしまう。勝利を確信したメガトロンは、ディセプティコン軍団を召集。自らを裏切った、スタースクリームを処刑するのだが、その隙にオプティマス達には逃げられてしまった。

しかしメガトロンの目的は、あくまでもオールスパークにあった。オールスパークを探すべく、飛び立つディセプティコン軍団。一方オートボット戦士は、逃げおおせたものの、全員が負傷してしまっている。更にサムダック博士から事の真相を聞き、彼らに焦りが出てくる。しかしこのピンチが逆に、オプティマス達を再び団結させる結果となる。鍵をメガトロンに奪われてしまった今、彼らはサムダックタワーに残ったオールスパークのエネルギーを利用して、修理をすることとなった。

その頃ラチェットは、スペースシップへと戻っていた。シップを飛び立たせ、途中でブラックアラクニアからサリを拾うと、サムダックタワーへと戻ってきていた。しかしそこへ、ディセプティコンが来襲。ラチェットは急ぎ、オプティマス達を回収。さらにメガトロン復活に責任を感じたサムダック博士も、一緒にシップに乗る事になる。

オプティマス達の必死の逃走むなしく、シップは撃墜されエリー湖の島へと不時着してしまう。かくなる上は、ディセプティコンと直接対決するしか無いのだ。オプティマスはメガトロンと、バルクヘッドはラグナッツと、ラチェット、バンブルビー、プロールはブリッツウイングを相手にする。

バルクヘッドは、ラグナッツの隙を突き撃退。ラチェット達も、ブリッツウイングの多重人格と三段変形の関係性から、彼の弱点を見抜き撃退する。しかしメガトロンは、その圧倒的パワーでオプティマスを打ち倒すと、ついにオールスパークを手に入れてしまう!

しかしその瞬間、50年もの間メガトロンを研究していたサムダック博士が、メガトロンの弱点を突いた。メガトロンが怯んだ瞬間、サリは鍵を取り戻し、オプティマスが隙をついてメガトロンに反撃をする。更にサリが投げた鍵を使い、オプティマスはメガトロンと一体化したオールスパークを攻撃!そのエネルギーで、オールスパークは砕け、メガトロンも爆発に巻き込まれてしまった。

戦いは終わった。ディセプティコン達はいずこかへと消えてしまった。そしてサムダック博士は一人、メガトロンに囚われてしまっていたのであった…。

解説

シーズン1も、いよいよラストとなります。今までに蒔かれた伏線や各キャラクター達の思いが、一気に収束していく展開は、見事としか言いようがありません。

特筆すべきは、やはり復活したメガトロンでしょうか。今までは頭だけだったせいもあり、どちらかというと頭脳派の印象があったのですが、ところがどうして一人でオプティマス達を圧倒するなど、腕の方も圧倒的なのです。まさに非の打ち所が無い、という言葉がピッタリですね。

先ほども書いたように各キャラクターの行動が、きめ細かく描かれているのが特徴です。特にディセプティコン側は、あくまでもメガトロンの忠実な部下であろうとするラグナッツとブリッツウイング、生きていたメガトロンを前に様々な思惑を巡らせるスタースクリーム、単独でオールスパークを手に入れようとするブラックアラクニアなど、とにかくそれぞれのキャラクターがしっかりと立っており、またブレがありません。

それに対するオートボットの行動も見所でしょうか。特に強敵を前にして、ついイラついて団結力を失ってしまうオプティマスが、再び仲間からの信頼を得て立ち上がるあたりは、アニメイテッドの中でも、一、二を争う名シーンだと言ってしまって良いでしょう。それだけでは無く人間側のドラマもきちんと描かれていて、50年もの間メガトロンと一緒に過ごしていたサムダック博士の心情と、それに立ち向かっていく辺りは本当に単純な子供向けアニメとは言い切る事が出来ません。

唯一心残りなのは、前半で思わせぶりに登場したダイノボット達が、結局活躍しなかったという事でしょうか?どうやら絵コンテの段階ではダイノボット達が助けにやってくる、というシーンがあったようですが、結局カットされてしまったようです。

オートボットのスペースシップが山肌に突っ込むシーンは、初代のオマージュです。ファンとしては「良くやってくれた!」と言わざるを得ないでしょう。