トランスフォーマーアニメイテッド エピソードガイド05

#17

「The Elite Guard」

Written by : RICH FOGEL
Art Direction : DERRICK J.WYATT
Directed by : MATT YOUNGBERG , IRINEO MARAMBA , YUTAKA KAGAWA

あらすじ

ディセプティコンとの激しい戦いは終わったが、デトロイトの街は傷ついてしまっていた。オプティマス達は復旧活動を手伝うのだが、市民達に与えた恐怖は、そう簡単には拭えないのであった。サリもまた行方不明となった父の後を継ぎ、サムダック社の経営を行っていたのだったが、やはりどうにも上手くいかない。そこへ宇宙から一隻のスペースシップが現れた。中から現れたのは、オートボットのエリートガードのセンチネルとジャズ、そして最高総司令官ウルトラマグナスであった。彼らはオールスパークの回収にやってきたのだった。

その頃メガトロン達は、周囲の環境がディセプティコン反応を遮るのをいい事に、デトロイト郊外の鉱山に秘密基地を作っていた。メガトロンの目的は、直接サイバトロン星へ乗り込む事。それに必要なスペースブリッジの設計図を、先の戦いの最中に入手していたのだ。そしてスペースブリッジ建造のため、サムダック博士を拉致。協力を強制していたのだった。

「オールスパークは砕け散ってしまった」という、オプティマスの報告を信じられないセンチネル達。その証拠を見るために、オプティマス、センチネル、ウルトラマグナスはオプティマス達のスペースシップへと向かう事になった。しかし地球の文化を知らないセンチネルは、とにかくトラブルを引き起こす。

その頃サリの元に、サムダック社の工場が暴走を始めた、という知らせが入った。サリは残されたバンブルビー達に救援を求める。残ったメンバーとジャズは、早速工場へと急行する。そこでは警察ロボが次々と製造され、暴れていた。オートボット達はロボットを破壊するのだが、後から後から製造されてくるために、いつまで経っても状況は改善しなかった。そこへオプティマス達が救援にかけつける。オプティマス、プロール、ジャズは工場の中へと進入。ロボットを製造しているコントロールパネルを、サリの鍵の力でストップさせる事に成功した。

原因は爆発四散したはずの、オールスパークの欠片であった。欠片がコントロールパネルに取り付き、機械を暴走させていたのだ。そしてその欠片を見せる事で、ウルトラマグナスもオプティマスの話を信じ、また活躍を見てリーダーとしての資質を見抜くのであった。しかしオールスパークの欠片については、既にディセプティコンの知る所となっていたのであった。

サムダックタワーへと戻ってきたサリ。しかしサムダック社は、すでにパウエルにより乗っ取られていた。そしてパウエルの口から、サリに衝撃の真実が告げられる。サリはサムダックの娘では無いどころか、彼女の存在を証明する書類などの、一切が存在していないという事を…。

解説

今回からシーズン2がスタートです。シーズン2では、シーズン1のラストの展開を踏まえて、砕け散ってしまったオールスパークを回収するお話がメインになっていきます。その中で、新しいキャラクターもいっぱい登場してきます。

もう一つ別の軸として、サリとサムダックの物語も展開していきます。サムダック博士は、シーズン1ラストでサリに対して「大事な話がある」と言い残し、そのままディセプティコンに囚われの身となってしまいます。一方のサリはそれを受けて、サムダック博士の娘では無い?という事が判明しますが、どうもそれだけでは無く、まだまだ重要な秘密が隠されていそうです…。

シーズン1でも度々出てきましたが、今回からエリートガードという部隊が登場します。エリートガードとは、総司令官ウルトラマグナス直属の、要するに親衛隊のようなものでしょうか?そしてセンチネルが、そのエリートガードの司令官をやっている物と思われます。ちょっと誤解しがちなのですが、センチネルはエリートガードであり、かつ司令官(プライム)です。しかしジャズはエリートガードではありますが、司令官ではありません。エリートガードの見分け方としては、オートボットマークの横に翼のような意匠が追加されており、そのマークをつけていればエリートガードとなります。

#18

「Return of the Headmaster」

Written by : MICHAEL RYAN
Art Direction : DERRICK J.WYATT
Directed by : BEN JONES , SHUNJI OGA

あらすじ

パウエルによりサムダック社の社長を解任されたサリは、家からも追い出されてしまう。しかもその後に住むのは、あのヘンリー・マスターソンであった。パウエルはマスターソンの才能を高く買っており、新生サムダック社に呼んだのであった。

オプティマスとセンチネルはデトロイト市民に対して、記者会見を行う。しかし有機生命体が大嫌いなセンチネルは、相変わらずの言動を繰り広げる。その様子を見ていたマスターソンは、ヘッドマスターユニットのテスト用のボディとして、センチネルを選ぶのであった。

マスターソンは早速ファンゾーン警部に対して、ディセプティコンが出現したという罠の電話をかける。それを聞きつけたオプティマスとセンチネルも、現場へ急行する。しかしセンチネルは、ヘッドマスターにボディを奪われてしまうのであった。

オプティマスはセンチネルの頭と一緒に、マスターソンの行方を掴むためにサムダック社へ向かった。そしてそ知らぬ顔をするパウエルから、マスターソンの居場所の情報を得ると、早速エリー湖へと向かった。

その頃サリは、オートボットの基地に来ていた。落ち込むサリを見て、バンブルビーとバルクヘッドは懸命になぐさめるのであったが、却って逆効果。サリはただただ落ち込むだけであった。

マスターソンの乗っている船に潜入した、オプティマスとセンチネル。そこへセンチネルのボディを操った、ヘッドマスターが出現するとオプティマスに襲い掛かった!しかしオプティマスはこれを返り討ちに合わせると、ヘッドマスターを撃退してセンチネルのボディを取り戻すのであった。こうしてマスターソンは捕まったのだが、パウエルの弁護により刑務所に送られる事を免れたのであった。

サリはバンブルビー、バルクヘッドと和解し、オートボット基地で暮らす事となった。センチネルはヘッドマスターに体を奪われた事のについてウルトラマグナスに問われるが、オプティマスがこれをフォロー。センチネルはオプティマスに、一言だけ礼を述べるのであった。

解説

今回は実質的に、センチネルが主役のエピソードだと言ってしまっていいでしょう。センチネル自身は#1に登場し、その際にはとてもとても嫌な奴であるという事を見せ付けてくれました。しかし#9「Along Came a Spider」に登場した際には、回想での登場ではあったけれども、彼が嫌な奴になったのには、エリータワンの事件が絡んでいるという事が解り、必ずしも悪いヤツでは無い、という事が端的に語られます。またシーズン2になり地球に来てからは、確かに有機生命体=人間に対しては理解が無いけれども、どことなく憎めないキャラクターであるという描写がされてきました。それらの描写が重なりそしてそして今回のラストシーンを見る事で、おそらくほとんどの人はセンチネルに対して、最初に持っていたイメージとは真逆のイメージを抱いている、と言ってしまっていいでしょう。この辺りは、実に構成が巧みだと言わざるを得ません。事実今回のエピソードで、センチネルのファンになったという人は、結構多いようです。

今回のオプティマスは、センチネルと行動を共にしているわけですが、その様子は今までとはどこか違って見えます。やはり彼にとってセンチネルは、気の置けない友人だという事なのでしょう。

一方のサリも父親が行方不明で、更に家も追い出されてしまうという、かなり不遇な状況です。そしてそんなサリを励まそうとする、バンブルビーとバルクヘッドがとても意地らしく見えてしまいます。

#19

「Mission Accomplished」

Written by : MARSHA GRIFFIN
Art Direction : DERRICK J.WYATT
Directed by : IRINEO MARAMBA , YOSHIO CHATANI

あらすじ

宇宙の各地でディセプティコンの残党が、攻撃を始めた。それを知ったウルトラマグナス達は、地球にはもうディセプティコンはいないと決め付け、オプティマス達を連れてサイバトロン星に戻る事を決定した。しかしオプティマス達は、まだ地球にはディセプティコンがいると信じていたし、なによりここで自分達が帰ってしまうと、サリが一人ぼっちになってしまう事を危惧していた。センチネルはオプティマスの出世を約束するから、戻るよう促すのであったが、オプティマスはこれに反発。怒ったセンチネルは、オプティマスに宇宙船での待機を命令するのであった。

その頃、ゴミの山の中からスタースクリームが復活を遂げた。彼はメガトロンへの復讐を誓うと、何処へとも無く飛んでいってしまうのであった。同じ頃、メガトロンは宇宙に散らばる同志に、自らの生存を伝えんとしていた。ブリッツウイングとラグナッツは、その為に必要なタキオン通信機をウルトラマグナスの宇宙船から盗み出す。基地へ戻った二人であったが、スタースクリームが後をつけていたのであった。スタースクリームはメガトロンに攻撃を加えるのであったが、あっさりと撃退されてしまい、川に捨てられてしまう。しかしスタースクリームは、再度の復活を遂げる。彼の額に刺さったオールスパークの欠片が、彼を不死身の身体にしていたのであった。何度も甦り、メガトロンを攻撃するスタースクリームであったが、その度に返り討ちにあってしまう。そこで彼は、別のオールスパークの欠片で、罠を張る事を企むのであった。

オートボットのメンバーは、新しいサリの保護者として、ファンゾーン警部の下を訪ねていた。同じ頃、オプティマスはウルトラマグナスの宇宙船内にいた。そこへオールスパークの欠片が原因で、列車が暴走したとの連絡が入る。早速ウルトラマグナスとジャズが、欠片を取り戻すために出動する。しかし突然反応が現れた事を不審に思ったオプティマスは、暴走した列車の周囲を調べてみた。すると上空にスタースクリームの影を発見!これはディセプティコンの罠だと気づいたオプティマスは、センチネルを振り切ると、ウルトラマグナス達の救援に向かった。

スタースクリームは、オールスパークで列車を暴走させていた。列車が終点でも止まらずにビルに激突すると、デトロイトの半分が吹っ飛ぶ大爆発となるのだ。そしてその爆発にメガトロンを巻き込もう、としていたのであった。しかし列車には、ウルトラマグナス達が先に到着し、オールスパークを外そうとするが失敗してしまう。そこへオプティマスと、連絡を受けた仲間たちが集結。バンブルビーとサリが鍵を使い、オールスパークを外し、他のメンバーが力を合わせて列車を止め、大爆発は阻止されたのであった。

オプティマスは全てはディセプティコンの罠だ、とウルトラマグナス達に説明する。そこへメガトロンに粛清された、スタースクリームが落下してくる。オプティマスの言っている事が証明されたのだ!オプティマス達は力を合わせて、スタースクリームにステイシス錠をつけ、動きを封じた。

かくしてオプティマスの正しさは証明された。彼らは今しばらく地球に残り、オールスパークの欠片の回収と、残ったディセプティコンの捕獲を命じられたのであった。その頃メガトロンが、サイバトロン星にいる何者かと連絡を取っていた。それはオートボットにいる、ディセプティコンのスパイであった…。

解説

三話に渡って繰り広げられてきた、エリートガード編も今回がラストです。逆に言うと、シーズン2に必要な要素は、この三話でほぼ全て伏線が張られた、と言ってもいいでしょう。

今回の見所は、やはり甦ったスタースクリームでしょうか。本作のスタースクリームは、初代アニメのスタースクリームを、デザイン・性格共に現代風にアレンジした存在であります。そして今回の扱い、特に何度も甦ってはメガトロンにやられてしまう、という辺り、スタッフは本当にスタースクリームというキャラクターが好きなのだな、と言わざるを得ませんよね。

前回でオプティマスと仲直りしたかと思ったセンチネルですが、まだまだそう簡単にはいかないようです。ただ今回の彼の行動も、元はと言えば自分を助けてくれたオプティマスを出世させてやろう、という思いから出た物だという事を忘れてはいけません。根本的にこの二人は、いいコンビなのかも知れませんよね。

#20

「Garbage in, Garbage out」

Written by : MARTY ISENBERG
Art Direction : DERRICK J.WYATT
Directed by : BEN JONES , HIDEKAZU OKA

あらすじ

パウエルの指揮下となった新生サムダック社が、デトロイト市と契約について揉めてしまったため、街はゴミだらけになってしまった。このチャンスに乗じてパウエルは、ゴミ処理用マイクロボットを使い、一儲けしようと企んでいた。

その頃、オートボット達も街のゴミ収集に協力していた。しかしラチェットだけは、一人不機嫌であった。普段から不機嫌であり人当たりの良くない彼に対して、バンブルビーとサリが人に好かれるようアドバイスをする事となる。その頃ゴミの山の中から一人のロボットが立ち上がる。オールスパークの欠片が、新たなトランスフォーマーを生み出したのだ。彼は自分が何者かを知るために、街中を(ゴミを撒き散らしながら)走り回る。そして出会ったアングリーアーチャーにより「レックガー」と名づけられるのであった。

ラチェット達は、なんとか他人に好かれようとするのであったが、どうにも上手くいかない。そんな彼らの前に、レックガーが現れる。レックガーがサムダック社の輸送車を止めると、中にあったカプセルをアーチャーが盗み出してしまった。レックガーの出現に戸惑うバンブルビー達。すったもんだの末に、アーチャーは捕まえたのだが、カプセルはレックガーの背中のゴミ箱に入ってしまい、レックガーはそのままどこかへ行ってしまった。

パウエルからマイクロボットの事を聞いたラチェット達は、レックガーが持ち去った事に気づく。もしマイクロボットがオールスパークの力でパワーアップしたら大変な事になるだろう。急ぎレックガーを追いかける。更にそこへ、オールスパーク反応を感知したラグナッツが襲来。ラチェットと睨み合いになるのだが、レックガーの機転?でラグナッツは自爆してしまう。逃げるラグナッツの背中に乗ったレックガーは、あのカプセルの中に入っていたマイクロボットを解放してしまい、ラグナッツはボディの一部を食べられてしまった。

レックガーはそのまま、ゴミ運搬船に落下。オールスパークの力でパワーアップしたマイクロボットがこのまま岸につけば、デトロイトの街ですら食べられてしまうだろう。ラチェットはレックガーを止めるべく、一人船に降りていった。しかしレックガーは、完全に暴走状態にあった。そこでラチェットはレックガーに、今までの暴言を謝罪し説得を試みる。正気に戻ったレックガーは、掃除機でマイクロボットを吸い込んでしまうのだったが、自分も食べられてしまい、川の底へと沈んでいってしまったのであった…。

解説

シーズン2では、オールスパークの欠片により命を与えられたトランスフォーマーが多数登場しますが、今回登場するレックガーもその一人。レックガーと言えば「2010」では、惑星ジャンキオンというゴミだらけの惑星の住人でした。本作でのレックガーはその設定を踏まえて、ゴミの中から誕生、更にゴミ収集車に変形する、という念の入れようです。デザインも「2010」に登場したレックガーを、よりカートゥーンに特化させたアニメイテッドらしいデザインになっています。細部を見ていくと全然パーツなどは違うのですが、でも全体の雰囲気などは確かにレックガーなのですから、面白いですよね。また英語版の声優は、アル・ヤンコビックが務めています。本当は「ザ・ムービー」と同じく、エリック・アイドルにやらせたかった、という話も聞こえてきています。

また今回は中盤で、やはり「2010」に登場したスパイクとカーリーの夫妻(に良く似たデザインの人)が登場します。またレックガーがバンブルビーに投げるゴミの中に、初代レックガーの玩具があったり、「ザ・ムービー」で使われた宇宙共通の挨拶「バーウィップグラーナウィピニボム」のセリフが使われたりと、とにかくオマージュが詰まった回でもあります。

今回のレックガーは、自分が何者なのか解らずに、他人の意見にひたすら同調して立場を変えていくキャラクターとなっています。これはつまり、オートボットもディセプティコンも生まれた時は同じで、その後の成長によってどちらにつくか決まる、という事を暗に示しているのだと思われます。レックガーは背中のゴミ箱から色々と出すのですが、これらは英語のダジャレになっており、日本放映時にはどう訳されるのか、気になる所ですよね。