サムライジャック全話ガイド8



第29話 「エピソード29」
(2005,4,19初放送)

(あらすじ)
ジャックは旅を続けていた。そして辿り着いた街は、どこか開拓時代の西部を思い出させる街だった。そこは暴力と金が支配する街。ジャックはバーのマスターから大金で情報を聞き出すと、その場所へ向かうべく機関車に乗るのであった。

ところがジャックを追いかける、謎の影があった。エゼキエルとジョセフィーヌの賞金稼ぎの元夫婦であった。荒野を疾走する機関車を舞台にして、ジャックと賞金稼ぎ達の闘いが始まった。果たしてジャックは勝利できるのだろうか?


(解説)
今度の舞台は西部劇風の街です。あくまでも西部劇「風」であり、本当の西部劇とは違うのですが、それでも十分に雰囲気は出ています。

見所はなんと言っても、機関車を舞台にしたエゼキエル、ジョセフィーヌとのバトルでしょうか?疾走する機関車の上で繰り広げられる、二人の賞金稼ぎを相手にした立ち回りは、迫力満点であります。そしてこの敵役である二人も、なかなかいい味を出しております。単純な悪役では無い、妙に人間臭い所が魅力ですね。

また機関車のデザインもグッド。古めかしさを残しつつも、未来的なデザインになっているのが素晴らしいです。ところでこの機関車、なんで石炭で動かす必要があるんだろう?電気が流れる描写とかあったのに…。

気になる所と言えば、冒頭でジャックがバーのマスターに大金を支払ったんですけど、あのお金は果たしてどうやって稼いだのでしょうか?他の賞金首を倒したのかも知れませんが、それだったら賞金をもらいに行く際に、ジャック自身も始末されてしまう危険があるわけで…。うーむ、まさか盗んだんじゃないよね?

あとやはりと言うかなんと言うか、ジャックはどうしても女性に甘くなってしまいますね。これはイクラの時から変わってない部分であります。だがしかし、今回それでまたもやピンチ!いい加減、他人を疑うという事を覚えて欲しいんですが…、でもそこがジャックの最大の魅力でもあるんですけどね。

それから今回特別ゲストで、ハンナ・バーベラ作品の「早撃ちマック」が登場します。同じ西部が舞台ですもんね。


第30話 「エピソード30」
(2005,4,26初放送)

(あらすじ)
アクはイラついていた。未だにジャックを始末出来ないからだ。そこでアクは、何やら陰謀を思いつくのであった。

旅を続けていたジャックは、いつしか霧深い墓地へと迷いこんでしまった。怪しい気配を感じ取るジャック。と突然墓の下から大量のゾンビが現れた!ゾンビ如きはジャックの敵では無いのだが、なにしろ数が多すぎる。ジャックは善戦するものの、とうとう大切な刀を奪われてしまった!

それこそがアクの企みであった!アクはまんまとジャックから刀を奪うと、返す刀でジャックに襲い掛かってきた!ジャック最大のピンチ!ジャックはアクから刀を取り戻せるのか?


(解説)
ひさびさのアク登場であります。しかもチョイ役では無く、ジャックと死闘を繰り広げるという、まさに「燃える展開」なのであります。更に今回はセリフが少なく、ほとんど全てのシーンがアクション!まさに「サムライジャック」らしいお話であります。

そんなわけで濃厚なバトルシーンが今回の見所。後の「スターウォーズ クローン大戦」を彷彿とさせる、アクションをたっぷりと頼みましょう。アクの変身も久しぶりに見られます。


第31話 「エピソード31」
(2005,5,3初放送)

(あらすじ)
果てしなく広がる砂漠。そこにある古代の遺跡にて、アクは「セトの手下」と呼ばれる魔物達を復活させた。彼らにジャックを始末させようと言うのだ。そんな事も知らず、砂漠の遺跡へと立ち寄るジャック。

ジャックは遺跡に対し、奇妙な「懐かしさ」を覚える。そう実はこの遺跡は、かつてジャックが少年時代を過ごした場所であったのだ。

そこへセトの手下達が襲い掛かる!セトの手下は強力な上、三体で襲ってくるので、さすがのジャックも苦戦する。だがその時ジャックは思い出す。この遺跡のどこかに、彼らを倒す方法が書かれていたのを…。


(解説)
今回はエジプトが舞台。そのため、エジプトに縁深い神様などが多数登場します(この辺りは後ほど解説を)。背景などの美術も、すっかりエジプト。ヒエログリフ(絵文字)などの描写も実に良く研究しているな〜、と思ってしまいます。特にジャックの子供時代の、まだ廃墟になる前の描写と、現在の廃墟となり遺跡となった後の描写のコントラストなども、またいい演出であります(過去が昼であるのに対し、現在は夜である)。

今回も前回同様、全編戦いっぱなしなのですが、今回はそれに加えてセトの手下の弱点を探しながら戦うという、いわゆる「謎解き」の要素がありますね。それでいて普段のアクションのテンポが、全然損なわれていないのは、流石という他ありません。結果としていつものアクション演出にさらに一味違う面白さが加わる結果となっています。

久しぶりに、ジャックの子供時代が登場するのもポイント。この頃ジャックは世界中を旅していたんですよね。しかしこの時に一緒に遊んだ友人達もいずれアクに…と考えると、ちょっとやるせない気持ちになってしまいます。

さて今回登場したエジプトの神々についてちょっと解説しましょう。
まずは「セトの手下」の「セト神」。
「ジョジョの奇妙な冒険」読んでる人なら、「セト神」と聞いただけで「えらいねェ〜」というセリフが速攻で浮かんできてしまうと思うのですが(笑)、リンク先のページにもあるように、セト神は「嵐と暴力の神」であります。今回の敵役としてはうってつけでしょう。

さてラストに出てくる神でありますが、これが「ホルス神」か「太陽神ラー」のどちらなのか、ネット上での感想サイトを見ると、説が二分されているようです(ちなみに英語の解説ページでは「ラー」になっているようですが)。

ホルス神はしばしば鷹や鷲の姿として描かれています。そしてラストに出てきた神の顔が鳥のような顔をしていたため、あれはホルス神では無いか?というのが「ホルス派」の説。またホルスとセトは仲が悪かったようですね。

一方の「太陽神ラー」派の意見としては、あの神が太陽の光の中から出てきたから「ラー」に違いない、という主張のようです。
さて一体どっちなのでしょうか?

自分としては、あれは「太陽神ラー」だと思っています。理由は「スカラベ」です。

ネタバレになりますが、ジャックが「セトの手下」を退けるために集めていたのは「スカラベ(フンコロガシ)」の形をした彫刻です。そして「スカラベ」は実は古代エジプトでは「太陽神の化身」と思われていたのです。何故なら「スカラベ」がフンを転がす様子が、太陽の運行に見立てられていたからです。

さてあの神は、その「スカラベ」から出てきたわけです。「太陽神の化身」たる「スカラベ」から出てきたのですから、それはもう「太陽神」であると言ってしまっていいでしょう。


第32話 「エピソード32」
(2005,5,10初放送)

(あらすじ)
ジャックは旅の途中、人からの噂を聞きつけ、とうとう「時の通り道」すなわちタイムホールの在り処へと近づいた。三匹の怪獣に案内され、いよいよ「時の通り道」を発見する!
だがしかしそこにいた「監視人」に勝たないと、「時の通り道」へは入れない。果たしてジャックは過去へと戻れるのだろうか?
(解説)
いよいよ過去へのタイムホール発見!なのでありますが…そう簡単にいかないのも、この作品の特徴であります。今回の相手は「監視人」を名乗る謎の男。こいつがまた強いわけで。しかし最近ジャックは、なんかピンチばかりだなあ。
今回注目したいのは、背景の美術であります。元々「サムライジャック」という作品は、遥か未来のお話であります。そのためいつもはもっとサイバーパンクなSF的な街などが出てきます。でも今回は珍しく、純粋ファンタジー風。そうした様々な世界観を内包しているのが、この「サムライジャック」の魅力であり、そしてその世界観を実に魅力的に描いているあたり、スタッフの力量を感じてしまいます。

さてネタバレになってしまうのですが、本編のラストで「時の通り道」に映された人影は一体誰なのでしょうか?あのヒゲを生やした逞しい王のような人物の正体は?
本編で明確に語れられていない以上、推論にしかならないのですが、あの人物は「ジャック」であろうと自分は考えます。ただし「ジャック」と行っても「今から何年、いや何十年も後のジャック」だと思うのですが。
つまりジャックがあの「時の通り道」を通れるのは、ジャックがあの姿になる未来だという事です。だから今のジャックには通れない。監視人が「通るのは絶対無理だ」と言っていたのには、そういう裏があるのでは無いか?と推測できるわけです。
しかしそれは逆に言えば、ジャックの旅はまだまだ続くという事です。でもいつか帰れるという事は確かなようですね。