サムライジャック全話ガイド10



第37話 「エピソード37 アク誕生の秘密 前編」
(2005,6,13初放送)

(あらすじ)
遥か昔、遥か遠い宇宙での事。そこには巨大な闇の塊があった。神々は団結してその「闇」を駆逐する。だが討ち取られたはずの「闇」から「かけら」が一つこぼれ落ち、地球へと落下していた。

その「闇のかけら」は長い長い年月の間に、多くの生命を奪い大きくなっていた。その「かけら」に手を焼いた一人の領主は軍勢を率いて、討伐に向かう。そうそれこそ若かりし頃のジャックの父であった。

だがしかしその「かけら」から、ついにアクが誕生してしまう。アクはジャックの父を磔にすると、彼の城を襲うのであった!


(解説)
今回と次回はサブタイトル通り「アク誕生の秘密」が語られます。ジャックの宿敵アクの誕生には壮大な背景があったのですね。なにしろ恐竜を滅ぼしたのもアクなわけで。

しかし誕生が宇宙規模で、更に恐竜を絶滅させた程の破壊力を持つアクなのに、ジャック一人に手こずっているのを見ると、やはりアクはお茶目だなあ、と思わざるを得ません(笑)。菅原文太さんの日本語吹き替えも、それに拍車をかけています。この辺りは賛否分かれる所ですが、個人的には好きな所であります。

というわけで今回は全編が見所と言ってもいいでしょう。特に前半は、例によってセリフが全く無く、音楽と映像だけで物語が進みます。この辺りの手腕は、さすがだと言えますね。


第38話 「エピソード38 アク誕生の秘密 後編」
(2005,6,20初放送)

(あらすじ)
アクの手により磔にされたジャックの父。絶望に沈む彼の前に突如天空から光が差した。彼は光の中から現れた馬に乗ると、遥か天空へと昇っていくのであった。

そこで待っていたのは、三人の僧達。そしてかつて「闇」を振り払った神達であった。神達はジャックの父に「刀」を授ける。そうどんな悪も退ける、正義の力を宿した魔力の刀である。

それを持ち地上へ戻るジャックの父。いよいよアクとの一騎打ちが始まるのだ!


(解説)
後編。

今回の見所の一つとして、ジャックの持っている「魔力の刀」の誕生が語られる事でしょうか。そもそもこの刀は以前から「なんで刃こぼれしないんだ」とか「自由落下中に岩肌に突き立ててどうして折れないんだ」とか、様々な謎がありました。しかし今回明かされた所では、そもそもこの刀は「金属」では無く「正義の心」で出来ている、という事が判明しました。だったら刃こぼれも何もしなくて当然なわけです。

そういえばエピソード18の「暗殺ロボット」の話で、ジャックが祈ると空からの光で刀がパワーアップする、という描写がありました。これも今回語られた刀の秘密を見れば、何故そうなったのか理解できようと言う物ですね。

さて最大の見所はなんと言っても、クライマックスで大量発生したアクとジャックの父との戦いでしょうか。このシーンはエピソード3に出てきた、ジャック対ゴキブリロボの百体斬りのシーンを彷彿とさせます。まさに斬って斬って斬りまくる!のです。

さて今回は既にご承知のように「アク誕生の秘密」。つまりエピソードゼロ、という事です。前回と今回を見た後で、もう一度エピソード1から見直すと、なかなか面白いかも知れませんよね。


第39話 「エピソード39」
(2005,6,27初放送)

(あらすじ)
ジャックは旅の末、アクが隠し持つ秘法、力の源たるダイヤの在り処を知った。

だがしかしそこは難攻不落の要塞。ちょっとやそっとでは、到底忍び込めないし、生きて帰る事は出来ないのだ。そこでジャックは入念な準備の末、忍者装束を着込んで要塞に忍び込む事に成功した。

しかし同じ頃、もう一人の盗賊がその要塞に忍び込んでいた。彼の目的は、ジャックと同じダイヤである。果たしてダイヤはどちらの手に…?


(解説)
…それでその盗賊のデザインが「ルパン三世」に出てくる、次元大介そのまんまなわけだ。さすがに色は白となっていて、違いますけども。更にこのキャラの日本語吹き替えを担当しているのが、声優の小林清志さん。実は次元大介の声もこの人なわけでして。更に冒頭部分のナレーションを担当されているのが、声優の納谷六郎さん。この方は声優の納谷悟郎さんの実弟でして、その声優の納谷悟郎さんは銭形警部の声を担当されている方です。えーっと…いいのか、これ?まあいいんだろう。いいって事にしておこうか。ちょっとした「お遊び」って事ですかね?

それはさておき、今回はなかなかの良作。忍者装束などのローテクジャックと万能トランクを使うハイテク盗賊(白次元)、二人の対比もさることながら、大量の敵を前にして、二人がライバルでありつつ共闘するという辺りのバランスがとても絶妙に仕上がっています。相手を助けたかと思ったら、ダイヤを奪って即逃げたりなど、ジャックもただのお人よしから成長したなあ、と思えるシーンもあります。

アクションももちろん、いつものキレを維持しており、ジャックの剣技に加えて白次元ならではのガンアクションも、なかなか面白い物となっておりますね。そして音楽もそれぞれのイメージに合ったアレンジが使われております。こういったこだわりは嬉しい所ですよね。


第40話 「エピソード40」
(2006,5,5初放送)

(あらすじ)
アクから新たな刺客が送られた。闇に潜む夜の剣士だ。彼はジャックの後をつけ、襲う隙を狙っている。

その頃ジャックは、ふとした事から南洋の人々を助ける事となった。人々から感謝されるジャック。しかし剣士は子供を人質に取ると、古城の中へ消え去っていった。子供を助けるために中へ入ったジャック。今、一騎打ちが始まる!
(解説)
あらすじだけ見ると、なんて事の無い話なのですが、今回もエピソード35同様に、映像にかなりの力が入っております。クライマックスの、白と黒だけの世界での戦いがそれ。なんだかアートアニメを見ているかのような気持ちにさせられてしまうくらいに、実に素晴らしい。まさに「光」と「闇」の戦いでしょうか。

音楽も必要最低限しか使われておらず、それが最大限の効果を発揮しております。こういう所は本当に上手い。また沈みゆく太陽が、戦いのタイムリミットを表しているのも上手い演出。「光」であるジャックは、夜の到来により段々とピンチになっていくわけですね。