おくびょうなカーレッジくん全話ガイド1



第1話 「クモの巣 こわいよ〜!」
(原題:A Night At The Katz Motel)


(あらすじ)
旅行の帰り道、カーレッジ、ミュリエル、ユースタスの一行は「キャッツモーテル」というモーテルにて、一泊する事に。だがしかしそのモーテルの支配人、キャッツは何やら怪しい気配がするのだった・・・。

犬お断り、という事で外で寝ていたカーレッジをクモが襲う!なんとか脱出するカーレッジであったが、その頃バスでは、ミュリエルもクモに襲われていた。更にユースタスも攫われてしまい、クモの巣に捕らえられてしまった!

全てはキャッツの仕組んだ罠であった。キャッツはこうやって旅人達を襲っていたのだ!そしてカーレッジ達の命運を賭け、キャッツとカーレッジのスカッシュ勝負が始まった・・・。


(今日のゲスト)
キャッツ、クモ
(解説)
というわけで、「おくびょうなカーレッジくん」の第一話であります(厳密にはプロモーション版がありますが・・・)。今回は、カーレッジくんの面白さがぎっしりと詰まっていて、カーレッジくんの基本となっているとも言える話でしょう。

まず最初の見所は、やはりクモから脱出するカーレッジでしょうか。背後から道具を出して、繋がれている紐を切ろうとするのですが、この辺りのパターンは、後々まで継承されているギャグでもありますし、実にカートゥーンらしい表現であります。

それからフロントへ助けを求める時の、カーレッジの「変身」ギャグも早くも見受けられます。話自体はホラーなのですが、こうしたカートゥーンチックなギャグが随所に散りばめられているのが、「おくびょうなカーレッジくん」の最大の見所の一つと言ってもいいでしょう。

そしてカーレッジ最大のライバル、キャッツの登場。やはりキャッツはカーレッジの最大の宿敵のようですね。まあ犬と猫なのですから、当然と言えば当然なのですが・・・。

そのキャッツとカーレッジのスカッシュ勝負が今回最大の見所でしょう。ちなみにスカッシュとは、このように部屋の中で壁に向かってやるテニスの事です。キャッツはこの後もカーレッジと幾度となく勝負を繰り広げるのですが、その度にこのように勝負を繰り広げる事がほとんどです。どうやら意外と彼は紳士なのかも知れませんね?

ところで一つ注目したいのは、今回の事件を解決したのはカーレッジでは無く、「ミュリエル」であるという点。これが話が進んできますと、カーレッジが事件を解決するようになってくるのですけど、まだ最初なので、その辺りに話の作り方の試行錯誤が見受けられるようで面白いですね。

また日本語版のみの特典といってもいい「ダジャレ」もまだまだ聞く事が出来ません。でもこれはこれで味わい深い物がありますよね。

「特製 ばあちゃんシチュー」
(原題:Canjun Granny Stew)

(あらすじ)
とある洞窟にて、一匹のキツネが「ばあちゃんシチュー」を作っていた。ところが肝心の材料である「ばあちゃん」が無い事に気付いた!そこでキツネはばあちゃんを探しに行くのだった。

その頃、ミュリエルとカーレッジは公園に来ていた。いつしか眠ってしまうミュリエル。とそこへキツネがやってきた!シチューの材料とするために、ミュリエルを連れていってしまう!

かくしてここに、カーレッジとキツネのミュリエル争奪戦が始まったのだった・・・。


(今日のゲスト)
キツネ
(解説)
さっきのお話はホラーでしたが、今回はかなりドタバタが入っています。もっともミュリエルにしてみれば、食べられてしまうわけですから、ホラーには間違いないのですが・・・。

さて今回の見所は、やはりカーレッジとキツネの追いかけっこでしょうか?この辺り、カーレッジは実に伝統的なカートゥーンの血を、ばっちり受け継いでいると言えるでしょう。

今回登場するキツネ、パッと見るとキャッツと良く似ていますね。違いは、体色がキャッツより薄いこと。尻尾が太いこと。目が大きく、サングラスをしていることでしょうか?さてこのキツネですが、カーレッジと追いかけっこを繰り広げたり、また飛行機からミュリエルが落ちそうになった時には、カーレッジと一緒になって、ミュリエルを助けようとしたりと、意外とカーレッジとは良いコンビだなあと思いませんか?ただ残念ながら、彼が次に登場するのは「悪役だよ全員集合!」と、かなり間が空いてしまいます。やはりキャッツには勝てなかったという事でしょうか?

さて先ほど「まだダジャレが無い」と書きましたが、この話から少しではありますがダジャレが出てくるようになっています。しかも最初にダジャレを言ったのは、なんとキツネ!「運がついている」「キツツキ」を引っ掛けたダジャレを披露してくれます。


第2話 「ビクビクかげぼうし」
(原題:The Shadow Of Courage)


(あらすじ)
とある夜、一人のイジワルな金持ちが、寂しく息を引き取った。するとその金持ちの「影」が命を持ったかのように動き始めたのだ!影は街でひとしきりイタズラをすると、カーレッジ達の住む農場へとやってきた。

眠っているカーレッジ達。だがカーレッジが影を見、それを泥棒と勘違いした事から、騒動が起きる。おかげでカーレッジは屋根裏で寝る羽目に。だがしかし影のイタズラはエスカレートを極め、ユースタスがいなくなってしまう。

そして更にミュリエルの姿まで見えなくなってしまった!カーレッジはミュリエルを助け出す事が出来るのだろうか?


(今日のゲスト)
邪悪な影、パソコン、イジワルな金持ち
(解説)
さて今回ようやく、カーレッジ達の住む農場が舞台となります。そのせいでしょうか、今回の話は、後のカーレッジのストーリーの、まさに基本と言ってもいいエピソードとなっています。少しその辺りを整理して見てみましょう。

まず敵となるキャラクターの登場。今回の場合、最初の数分で今回登場する「影」が、いかにして生まれたのか、そしてどのような特徴を持っているキャラクターなのかが、実に簡潔に描かれているのが良く解ります。

そして農場で起きる異変。この異変に最初に気付くのはカーレッジです。それはカーレッジが、とりわけ臆病だからなのですが、ユースタスとミュリエルが無用心すぎるせいでもありますね。そして最初の内は、カーレッジの警告(変身を使いギャグで表現されている)が、無視されるというのも、後々まで受け継がれていくパターンとなっています。そしてそのカーレッジの警告を無視したがために、被害が広がっていくわけですね。今回は敵が「影」であるので、その「影」を利用した、カートゥーンらしい面白い表現で我々を笑わせてくれます。このように、「ホラー」でありながらも「笑い」を忘れない姿勢が、カーレッジの人気の秘密だと断言できるでしょう。

そして被害がミュリエルに及ぶに至って、カーレッジはようやく行動を起こします。ユースタスがどんなに被害に遭おうが、知ったこっちゃありません(笑)。今回は敵の正体を知るのに、パソコンを使っています。このパソコンがまた毒舌で、カーレッジとのやり取りは、それだけで楽しめますね。

そして敵とカーレッジの一騎打ちです。ここでも「影絵」が効果的に使われていて、見ているだけで理屈抜きに楽しめるシーンとなっています。そして肝心なのは、事件をカーレッジが解決するという事。もちろん時には、警察などのお世話になる事もありますが、それも「カーレッジが警察を呼ぶ」という行為にて解決するわけです。つまり「おくびょうなカーレッジが、勇気を振り絞り、自分で行動した結果」として事件が解決に向かうのです。もしも何の前振りも無く、いきなり事件が解決したら「なーんだ」なんて事にもなり兼ねませんからね。

とまあ、細かく見ていけばこのようになっているのが解ると思います。そして最初にも書きましたが、これが「おくびょうなカーレッジくん」の基本フォーマットとなっているわけですね。

そしてその中に、ホラーとカートゥーンの面白さを組み込んでいくのです。今回で言えば、「影が動き、怖い形になる」というのは「ホラー」。でも「影が影絵のように形を変える」というのは、同時に「カートゥーン」の面白さでもあるわけです。その辺りが今回の見所だと言っていいでしょう。


(今日のダジャレ)
まだ初期の段階なので、ダジャレは少ないです。ただラスト近くにて、「影」を使ったダジャレが少々。

また今回、カーレッジが泥棒が入ってきたと勘違いする場面にて「なんてね」を言っている事にも注目しましょう。これが後に決めゼリフになろうとは、この段階ではとても想像出来ないですよね。

「わたしはだあれ?」
(原題:Dr. Le Quack Amenesia Specialist)
 
(あらすじ)
ユースタスが屋根の修理をしていた時に、落としてしまった板。それがミュリエルの頭に当たり、ミュリエルは記憶喪失に!ユースタスはここぞとばかりに、ミュリエルに「お前はメイドだ」とウソの記憶を教え、カーレッジを追い出してしまう。

ところがそれを悪党のル・クアックが聞きつけた。ル・クアックはユースタスを閉じ込めてしまうと、ミュリエルに金品のありかを思い出させようと、あの手この手の拷問をする。

ミュリエルの大ピンチ!果たしてカーレッジはミュリエルを救い出す事が出来るのだろうか・・・?


(今日のゲスト)
ル・クアック、パソコン、警察の人達
(解説)
今回初登場のル・クアックは、その後も何度かカーレッジと対決を繰り広げます。カーレッジのライバルと言えば思いつくのは、キャッツですが、ル・クアックはキャッツよりも頭脳派で用意周到に犯罪を進めていきます。また自分の手は汚さず、他人を利用して悪い事をするなど、キャッツよりも遥かに冷酷で残忍な印象があります。「ウ〜ララ〜」というフランス語訛り(?)も、彼の不気味さを強めているでしょう。

さて今回もそのル・クアックの残忍さが色濃く出ています。なにしろ金品の在り処を聞き出すために、ミュリエルを拷問にかけているのですから・・・!そんなばあちゃんを拷問しても、面白くもなんともないぞ!・・・いや、そういう問題では無いのですが、とにかく情け容赦ない彼の一面がうかがい知れるでしょう。もっとも、拷問自体はカートゥーンチックな、ちょっと笑える拷問なのですが・・・。

頭脳派には頭を使って・・・!という事では無いんでしょうが、カーレッジも今回はちょとばかり知恵を使います。ル・クアックに追いかけられて、姿を消してしまうのですが、果たしてカーレッジはどこに消えてしまったのでしょう?これも今回の見所ですね。

ラスト、ル・クアックは警察の車を破壊して、脱走するのですが、その辺りも彼の不気味さを演出するのに十分ですね。

しかしミュリエルが記憶を無くしたのをいい事に、ウソの記憶を教えたユースタスは、どうしようも無いですね。カーレッジを見習って、ほっとくのが一番いいですかね(笑)?


第3話 「ビッグフットをつかまえろ!」
(原題:Courage Meets Bigfoot)


(あらすじ)
ある夜、カーレッジは家の外から只ならぬ気配を感じる。どうも何かがいるらしい?朝食のデザートのパイも「そいつ」に奪われてしまうのだが、ミュリエル達は信じてくれない。

そんな中、テレビで「ビッグフット」がドコドコ町に現れた、というニュースが流れる。そのビッグフットに賞金がかかったと知り、ユースタスは俄然はりきる。

カーレッジはそのニュースを見て、昨日からの気配がビッグフットの仕業なのでは無いかと思う。もしもビッグフットが家にやってきたら、ミュリエルが大変な事になってしまう!ところがキッチンでは、すでにビッグフットがミュリエルとなごんでいたのだった・・・!


(今日のゲスト)
ビッグフット(セオドア)、セオドアの母親(?)、アナウンサー
(解説)
「ビッグフット」とは、アメリカの方ではメジャーな、雪男のようなモンスターの事です。足がとても大きい事から、「ビッグフット」と呼ばれています。

そのビッグフットなのですが、今回登場するビッグフットは、ちょっと心優しいビッグフットです。最初こそカーレッジと物の投げ合いで争いますが、その争いを越え、カーレッジと仲良くなってしまうといった一面を持っています。そう言えば登場時には、ミュリエルと一緒にお茶をしていましたね。ここからもこちらから攻撃さえしなければ、何もしない優しいモンスターだと言う事が解りますね。こういった「優しいモンスター」がしばしば出てくるのも、「おくびょうなカーレッジくん」の見所の一つでしょう。そしてこの「見た目は怖くても、心の中は優しい」というテーマは、後に何度か繰り返される事となります。

そのビッグフットと、カーレッジくんの物の投げ合いが今日の見所ですね。一体どこからそんなに?だけでなく、それを使って様々な笑いを取ろうという姿勢が、実にカートゥーンチックでいい味を出していますね。

ところで「パイ」がビッグフットに取られる件なのですが、ミュリエルは夜中にキッチンの窓を開け放しにしています。いくら周りに何もなく、安全だとは言っても、少々無用心すぎるのでは無いでしょうか?パイにしたって、窓際に置きっぱなしにしているわけですし・・・。

またユースタスはがめつい事で有名なのですが、今回ビッグフットに懸けられた賞金であそこまで喜ぶのがどうしても理解できません。だって「25ドル」と「死ぬまでタダで博物館に入れる」だけなんですよ(笑)?ユースタスが博物館が大好き、というのならまだ解るんですけどもね(笑)。


(今日のダジャレ)
まだまだダジャレは少ないですが、だからこそ逆に際立つ物がありますね。今回はまず・・・
「窓の外で誰かが引っ張るんだよ。まーどーでもいいけどね。」
と「窓」に引っ掛けたダジャレをカーレッジが披露してくれました(笑)。
「アブナい毛はえ薬」
(原題:Hothead)

(あらすじ)
新聞を読んでいるユースタス。と、「ヘアー研究所」の広告を見つける。普段から髪の毛を気にしていたユースタスは、広告記事を信じて、早速ヘアー研究所へ行く事に。

研究所に着き、ユースタスは早速診療室へ。一方何故か付いてくる事になってしまったカーレッジは、トイレの中で前の患者が毛はえ薬をつけているのを見つける。

だがしかしその毛はえ薬には、恐ろしい秘密があったのだ!なんと毛はえ薬をつけている時に怒ると、その怒りで大爆発を起こしてしまうのだ!

家に戻り、ユースタスがいつ爆発するのか気が気でないカーレッジ。しかもこんな時に限ってユースタスが怒るような事ばかり起きてしまう・・・。果たしてユースタスの爆発を阻止出来るのか・・・?


(今日のゲスト)
ハゲオヤジ、ディ・ラン
(解説)
ユースタスも人の子。やはり自分のハゲが気になるようです。最もハゲが気になるのは、男性であれば洋の東西を問わないようですね。

さて今回の見所はやはりユースタスがいつ爆発するか?という事でしょう。見ているこっちの方がハラハラしてしまうのですから、カーレッジはさぞや気が気でない事でしょう。それにしても人騒がせな毛はえ薬ですよね。

また薬で爆発する!というのをユースタスに教えようとするカーレッジの「変身」がまたいい味を出しています。特に最後の「どかーん!」のセリフが、なんともたまらない、実にカーレッジらしさを出していると言えるでしょう。

ところでちょっと考えると、今回のお話には「敵」が出てこないのが解ります。「爆発」は確かに迷惑なトラブルなのですが「敵」ではありません。また本来なら、こんな毛はえ薬をよこした、ヘアー研究所の所員が「敵」なのかも知れませんが、その所員を倒しに行く、といった描写もありません。例えばもしこの話がもっと後のシリーズに出てきたとしたら、カーレッジがヘアー研究所に侵入して、薬の効き目を解除する薬なりを入手するために、所員と闘うようなエピソードになるのでは無いでしょうか?おそらくまだシリーズも始まったばかりなので、スタッフも様々な方向性を模索していたのでしょう。そういった意味では、今回はちょっとした「異色作」なのかも知れませんね。


(今日のダジャレ)
やはり今回は「毛」を使ったダジャレが少し。診療室にユースタスが入ったのを見て・・・
「嫌な配。ヘアーの中に入っていって・・・」
」と「ヘアー」って事ですね。

第4話 「悪魔のマットレス」
(原題:Demon In The Mattress)


(あらすじ)
ミュリエル達のベッドのマットレスはもうボロボロ。いい加減新しいマットレスにしないといけない。

そこでミュリエルは、早速新聞に載っていたマットレスの会社へ電話する。新品のマットレスが届けられるのだが、その配達人にカーレッジは何やらただならぬ怪しさを感じる。

カーレッジは嫌な予感を感じ、ミュリエルにマットレスを使わせるのをやめようとするのだが、ミュリエルはそんな事を気にせずに、マットレスで昼寝をするのだった。

だがしかしカーレッジの嫌な予感は的中!マットレスの中にいた悪魔が、ミュリエルに取り憑いてしまったのだ!果たしてユースタスとカーレッジは、悪魔を追い払う事が出来るのだろうか・・・?


(今日のゲスト)
マットレスの悪魔、マットレスの配達人(ネズミとイタチ?)、パソコン
(解説)
今回はおそらくかの有名なホラー映画「エクソシスト」に題材を得ているのでしょうか、ミュリエルに悪魔が取り憑いてしまいます。アメリカやヨーロッパはキリスト教圏なので、特にこういった「悪魔に取り憑かれる」といった題材は、日本などよりも身近に感じるのかも知れませんね。

さて今回注目したいのは、カーレッジとユースタスの関係です。もちろんこの二人は仲が悪く、ユースタスはしばしばカーレッジを「アホ犬!」とバカにします、いやアホにしますと言った方がいいのかな?とにかく、いわば「敵対関係」にあるわけで、それは後のエピソードでも、ユースタスがしばしばカーレッジの敵になる、という事からも解ると思います。

だがしかしそう考えてみると、実は今回のお話はちょっと「異色」だと言えるでしょう。何故なら、今回はカーレッジとユースタスが「協力」している、珍しいエピソードなのです。

ミュリエルが悪魔に取り憑かれる。もちろんこれはカーレッジにとっても、ユースタスにとっても、大変な出来事です。だけどユースタスは後のエピソードを見ると、ミュリエルがどんなにヒドイ目に遭っていても、助けずに無視したり、あるいは知らん振りして、ミュリエルの危機に気付かなかったりする事がほとんどでした。ですけど今回は、ユースタスはカーレッジと共に、「悪魔に取り憑かれたミュリエル」に対し、危機意識を感じています。もちろんカーレッジだけに偵察を押し付けたりもしていますが、カーレッジがパソコンで検索した、悪魔祓いの儀式(ガウンを着て呪文を唱える)を嫌がりもせずに、実行したりしています。もしこれがもっと後のエピソードなら、「ワシはそんな事やらんぞ、このアホ犬!」とでも言って、いきなりカーレッジにやらせた事でしょう。こと今回に限っては、ユースタスはカーレッジにとっては、最大限に好意的であり、大切なパートナーとなってしまっているのです。

そう考えると、悪魔がミュリエルの体から抜け出し、ユースタスに取り憑いた途端、カーレッジが悪魔に攻撃するために、ユースタスの体に噛み付くのが、なんだかほんのちょっとだけですが薄情な行為には見えないでしょうか?もちろんカーレッジにとっては、悪魔は倒したいけど、ミュリエルに噛み付くわけには行かない。だからユースタスに乗り移った途端に噛み付いた・・・と判断も出来るのですが、ミュリエルから悪魔を追い出そうと共に闘った仲間であるユースタスにいきなりその仕打ちは・・・と思えてなりません。

まあ最大限好意的に解釈すれば、カーレッジがそれだけ普段からユースタスにヒドイ目に遭わされていた、という事なのでしょうか?もしかしたら「このチャンスに・・・!」という復讐の気持ちもあったのかも知れませんね。

さて今回の悪役と言えば、もちろん悪魔なのでしょうが、マットレスを持ってきた配達人も忘れてはいけませんね。でもやはり「アブナい毛はえ薬」同様、この二人は退治していません。あまつさえマットレスはまだ存在しているわけです。という事は、このマットレスによる被害は、今後も広まっていくという事なのでしょうか・・・?皆さんもマットレスを注文する時は、最大限気をつけてくださいね・・・。


(今日のダジャレ)
マットレスに対し、嫌な予感がするカーレッジ。
「予感はヤカンじゃないよ。なんてね。」
いよいよ「なんてね」との複合技が出てくるようになりましたね(笑)。
「やめて!フレッド」
(原題:Freaky Fred)

(あらすじ)
カーレッジの家に、ミュリエルの甥っ子のフレッドがやって来る。ミュリエルは久々に会うフレッドに大喜びだが、ユースタスはなんだか嫌がっている様子。

そこへフレッド到着。フレッドは床屋と営んでいるのだ。長旅の疲れを癒すために、バスルームへと行くフレッド。だがしかしカーレッジがフレッドと共に、バスルームに閉じ込められてしまった!

実はフレッドは病院から脱走してきていたのだった。彼はふわふわした毛を見ると、刈らずにはいられない、いたずら好きな人間だったのだ。そしてフレッドの魔の手がカーレッジに伸びる!危うし、カーレッジの毛・・・!


(今日のゲスト)
フレッド、バーバラ、ヒゲの男、病院の男達
(解説)
さて「おくびょうなカーレッジくん」に登場する中でも、特に人気のキャラクター、フレッドの登場であります。本編中で「病院から・・・」とありますが、この「病院」というのは明言されていませんが、つまりは「精神病院」の事でしょう。そんなちょっとアブナいキャラクターのフレッドの一人語りで進む今回のエピソード、その独特のBGMとあいまって、「カーレッジくん」の中でも、特に異色なエピソードであると言えるでしょう。

なにしろ、今回はカーレッジが「勝利」出来なかった、数少ない話なのです。更に言えば「勝利」どころか「闘う」事すら出来ませんでした。まずフレッドは、ミュリエルの「甥っ子」です。カーレッジにとっては、ミュリエルは「守るべき人」です。フレッドを傷つけるという事は、そのミュリエルを悲しまてしまう結果になるでしょう。ミュリエルを悲しませるような事は、カーレッジに出来るはずが無いのです。

またフレッドはただ「毛を刈って」いるだけです。殴ったり蹴ったりといった暴力は決してしていない、という事にも注目しておきたいと思います。今回のこの「毛を刈る」というのは、肉体的では無く、精神的な恐怖。それもいきなり怖いお面が出てきてびっくり!というのでは無く、じわりじわりと来る、いつもとはちょっと違った質の「恐怖」だった事は間違いありません。恐らくカーレッジにとっては、今まで体験した事のない、最大限の恐怖だったに違いありません。だからもうカーレッジにとって、フレッドはまさに「天敵」のような存在だったに違いありません。「ヘビににらまれたカエル」とは、まさにこのような状況なのでしょう。

そんなわけで、もう今回はとにかく全編が見所!と言ってしまっていいでしょう。随所に挿入される、サボっているユースタスも、カーレッジの恐怖を際立たせる演出として、秀逸な物となっています