「三つの呪い」
(原題:King Ramses's Curse )
(あらすじ)
ある夜、車で逃走している怪しい二人組み。実は彼等は泥棒で、ラムセス王の「石版」を盗んでいたのだ。二人組みは、石版を一旦地面に埋めて隠し、ほとぼりが冷めてからまた掘り出しに来ようと企む。だが石版を埋め終えた二人を待っていたのは、ラムセス王の呪いであった・・・。
翌朝、偶然その石版を掘り出してしまったカーレッジ。ミュリエルとカーレッジはその石版を元の所へ返そうと言うのだったが、ユースタスはそれがとても高価で貴重な物だと知ると、俄然欲が出てきてしまう。そのおかげで、石版を引き取りに来た、フルツ博士にも「大金と引き換えだ!」などと言う始末。
だがついにカーレッジ達の前にラムセス王が現れた!「石版を返さないと三つの呪いが襲う」とラムセスは語りかけるが、ユースタスは断固として石版を手放そうとしない。そしてついにカーレッジ達の身に「三つの呪い」がふりかかってくるのだった・・・!
(今日のゲスト)
ラムセス王、フルツ博士、二人組みの泥棒
(解説)
今回のサブタイトルは、ズバリ「三つの呪い」。そもそも呪術的に見て、「三」という数字はかなり特殊な位置にあります。例えばランプの魔人が叶えてくれる願いは「三つ」だけですし、日本でも「三つのお札」などのお話があります。そう言えば、三蔵法師のお供は「三人」ですし、桃太郎のお供も「三匹」です。では何故「三」という数字は特殊なのか?それを語りだすと少し長くなるので、興味ある方はご自分で調べてみてください。とにかく今回のお話もまた、そうした昔話や伝説などに則った形で進行しているというのがお解かりになるかと思います。
また今回もまたユースタスのがめつさから物語が進展していくのですが、やはり昔話や伝説などでは「がめつい人間」がいて、その人物が最後ヒドイ目に遭って終わり、というパターンを踏んでいる事を考えますと、そういった意味では今回は二重のパターンで進行されているという事になりますね。
さて今回の見所は、やはりその「三つの呪い」でしょうか?あえて分類するならば、「水」、「音」、「虫」とでも言えるでしょうか?そしてそれら全てにカートゥーンチックな味付けがされている事に気をつけましょう。
特に注目すべきは、最初の「水」。突然家の中が水浸しになってしまうのですが、でもそれだったら「窓を開ければ」済む話だとは思いませんか?そうすれば少なくともそこから水は出て行きますよね?でもカーレッジのスタッフは、あえてそうしないで、地下室に何故か「栓」を置いて、それを抜いて水を追い出す、という事にしています。そう、お風呂と同じですよね。この辺りのユーモアのセンスが、ある意味、とても古典的なカートゥーンのパターンになっていると思います。
またラムセス王にも注目。彼の動きはどことなくヒラヒラしていますが、これはラムセス王がコンピューターを使用して描かれているため。それがまたラムセス王の不気味さを見事に演出していると言っていいでしょう。
ところで今回一つ気になったのは、何故ラムセス王は、あの石版を返してほしかったのか?という事。ユースタスが手放さなかったのは「高価」だからなのですが、でもラムセス王は、王様なのですから、きっとお金持ちでしょう。だったら別にあの石版に固執する必要は無いのでは?と思います。ラストを見た限りでは、この石版はどうやらラムセスの棺の下の台の一部の様ですが、それにしてもあの場所が無くなったって、どうという事はないと思います。
実は、今回最大のポイントはまさに「ここ」なんですよね。ラムセスが石版に固執する理由、それが全く見えてこないし、語られもしない。だからこそ「恐怖」が倍増しているわけです。カーレッジ達にしてみれば、わけのわからない内に、庭に石版が埋められ、わけのわからない内に、呪いをかけられている・・・。「恐怖」の原因が解るのならまだしも、今回はその「恐怖」の原因が解らない。そして実はそれってスゴイ「怖い」事なんですよね。
もし次にこのお話を見る時には、そういった所に注意して見られると、もっと面白くなるかも知れませんね。
(今日のダジャレ)
石版を売った金で何を買うのか、考えるユースタス。その時、カーレッジがポツリと一言・・・
「こわいっす・・・」
それを聞いたユースタスは・・・
「いいイスが買える!」
実に巧みな連携技だと言えるでしょう(笑)。
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